Japanische Klassiker mit Furigana
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わかとのじょなんき
若殿女難記
山本 周五郎
Lesen Sie 若殿女難記 (わかとのじょなんき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.611 Zeichen · 45 Bildschirme
「まあ――」と一人が溜息をつく。「なんて粋な若さまでしょう」
「ちっともお気取りのない竹を割ったような御気性だわ」
「鰯のてんぷらに中とろのぶつ切りですって、よっぽど食通でいらっしゃるのね」
「大殿さまより下情に通じておいでなんだわ、きっとなにもかも御存じなのよ、なにもかも」或る一人はこう云って悩ましそうに眼を瞑った。「ええなにもかもよ、わたし胸がどきどきしてきたわ」
つまり彼女たちには、若殿が若殿であることに些さかの疑念もないのである。もっとも大名などの奥の生活は、われわれが想像するほど上品清潔なものでないという学者もある。裏長屋の熊公八公より卑しく猥雑で無恥乱倫だといきまく考証家も少なくない。現に筆者も華胄学院の姫君たちが「あん畜生、こないだの約束をしょんべんしやあがった」とか「おいなあ公、こんどの火曜日はどうかつへエスケープしようぜ」などと仰せられているのを聞いた経験がある。十七八のやんごとなき姫君でさえ斯くの如しとすれば、すり替え若殿の言動くらい些さかも怪しむに足らないかも知れない、さらば諸君にも疑惑ぬきでお読みを願うと致そう。――若殿はたちまち酔いつぶれてしまわれた。