Japanische Klassiker mit Furigana
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わかとのじょなんき
若殿女難記
山本 周五郎
Lesen Sie 若殿女難記 (わかとのじょなんき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.611 Zeichen · 45 Bildschirme
十
「縛り首だろう、わかったよ紋太夫、それよりおまえさん忙しいんじゃないか」若さまはにやりと笑いなされた。「おれはこれから松ヶ枝てえ腰元としけ込むんだ、いいからいきねえ」
紋太夫は噛み付きそうな眼をしたが、ようやく自制してそこを去った。――その夜の奸臣会議は、重大な緊張したものであった。掠われた三人は一味にとってみな中枢的人物である。増井琴太夫は年寄役の筆頭、角田は中老の元締りであって、いざというときにはその役の代表者として発言権を持っている。また小林三之丞は大目付として検察官の実権を握っているわけだ。もしこの三者を敵に悪用されるとすれば、ことによると一味にとって致命的な打撃となるかも知れない。
「これは先手を打つ時期だな」側用人の松田久弥が結論を与えるように云った。「御為派がこのように動きだしたのは、彼等も肚を据えたという証拠だ、彼等に時を藉してはならんぞ」
「それがいいでしょうな」勘定奉行の灰山主税が直ちに頷いた。「今まで黙っていましたが、あの封なしの文の『大』という署名がどうも怪しい、私には大助さまの意味ではないかと思われてならないんです」
十
灰山の言葉は、座にいる人たち全部を慄然とさせた。