Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

きくちよしょう

菊千代抄

山本 周五郎

Lesen Sie 菊千代抄 (きくちよしょう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.178 Zeichen · 72 Bildschirme

Aozora Bunko

そのまえの年から遊び相手として七人ばかり、家中の同じとしごろの子供が選まれて来た。これらのうちはっきり覚えているのは、僅かに左の三名だけである。

庄吾満之助  中老角左衛門の三男

巻野 主税  別家遠江守康時の五男

椙村半三郎  側用人半太夫の二男

そのほかには「赤」とか「かんぷり」とか「ずっこ」などいうあだ名が記憶にあるが、その意味もわからないし、顔かたちもたいてい忘れてしまった。

さて六歳のときのことであるが、浜町の屋敷の庭で遊んでいるうち、乳母の松尾がちょっと側を離れた隙をみて、誰かが池の魚をつかまえようと云いだした。菊千代のほかに三人ばかり、すぐさま袴をぬぎ、裾を捲って、池の中へはいって魚を追いまわした。そのうちに菊千代の前へまわった一人が、とつぜん大きな声で叫んだのである。

「やあ、若さまのおちんぼはこわれてらあ」

菊千代はぎくっとして、捲っていた裾を反射的におろして棒立ちになった。叫んだ者が誰であったか思いだせない、その瞬間の自分の気持も、漠然とした恐怖というくらいの印象しか残っていないが、ふしぎなことには、まわりにいた者がみんなぴたりと鳴りをひそめ、息をのんだような異様な顔つきをしたことだけは、かなり年月が経ってからもあざやかに思いだすことができた。