Japanische Klassiker mit Furigana
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こんにゃくぼん
菎蒻本
泉 鏡花
Lesen Sie 菎蒻本 (こんにゃくぼん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.957 Zeichen · 30 Bildschirme
「遊君が綺麗で柔順しくって持てさいすりゃ言種はないんじゃないか。遅いや、ね、お前さん。」
と一ツ叱って、客が這奴言おうで擡げた頭を、しゃくった頤で、無言で圧着けて、
「お勝どん、」と空を呼ぶ。
「へーい。」
途端に、がらがらと鼠が騒いだ。……天井裏で声がして、十五六の当の婢は、どこから顕れたか、煤を繋いで、その天井から振下げたように、二階の廊下を、およそ眠いといった仏頂面で、ちょろりと来た。
「白露さん、……お初会だよ。」
「へーい。」
夢が裏返ったごとく、くるりと向うむきになって、またちょろり。
「旦那こちらへ、……ちょうどお座敷がございます。」
「待て、」
と云ったが、遣手の剣幕に七分の恐怖で、煙草入を取って、やッと立つと……まだ酔っている片膝がぐたりとのめる。
「蝋燭はどうしたんだ。」
「何も御会計と御相談さ。」と、ずっきり言う。
……彼は、苦い顔で立上って、勿論広くはない廊下、左右の障子へ突懸るように、若い衆の背中を睨んで、不服らしくずんずん通った。
が、部屋へ入ると、廊下を背後にして、長火鉢を前に、客を待つ気構えの、優しく白い手を、しなやかに鉄瓶の蔓に掛けて、見るとも見ないともなく、ト絵本の読みさしを膝に置いて、膚薄そうな縞縮緬。