Japanische Klassiker mit Furigana
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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Lesen Sie 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.741 Zeichen · 486 Bildschirme
私は暗い夜々にどんなに彼の懐にすがって泣いたことでしょう。ああ若し彼が生きていたならば、彼と私の眼差しはどんな風にゆきあうことでしょう。お母さん、もう書きたいように書かせて下さい。自分の心象を綴るに恋々としている私の心をもう押えることは止めにしましょう。低徊逡巡する筆先は反って私の真相をお伝えするでしょう。調わぬ行文はそのまま調わぬ私の心の有様です。私は書架から本を抜くと、どこでもかまわず頁をあけて、気の向いたところから読みはじめます。幾度となく読み返して馴染みになっている文章を一行一行、ゆっくりゆっくり読んでゆくのです。親しい友の言葉に耳を傾け、その表情に見入る感じです。また事実私の場合はそれと選ぶところがありません。なにを学ぼうという気もありません。好きな文体に親しむのがただ心地良く感ぜられるのです。心に染みる音楽に聴き入るようなものでしょうね。また人というものは、愛読の書に向う時ほど自分を取りかえしたような気のすることはありますまい。なまけものの読書、私の朝のひとときです。さて、私も怠けてばかりはいられません。義務が控えているからです。そうです、義務です。