Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

Lesen Sie 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.741 Zeichen · 486 Bildschirme

Aozora Bunko

私は忽ちにして酒呑童子の如き面構えになった。そのふりで私は出かけていった。彼女は噴き出した。

「まあ、大へんな呑み手なのね。」

「それほどでもないがね。きょうは酌がよすぎたんで、少し過ぎたようだ。」

「いいとこへ連れてってあげましょう。涼しいわよ。少し風に吹かれるといいわ。」

いいとことは物干し場であった。なるほどそこはよかった。涼しい風が吹いていた。深い夜空の下に、廓の屋根屋根を越えて、遠くに浅草の灯さえ見えた。

「いいね。パラダイスじゃないか。」

「涼しいでしょ。あたし、よくここへ涼みにくるの。ちょいと、ここへ来てごらんなさい。あんたのお店が見えてよ。ほら、ね。」

背のびして眺めると、彼女の指さすさきに、わずかに店の屋根と看板が見えた。

「おや、君、指輪をはめているね。」

「ふふふ。」

私は彼女の差し出した手をとって、

「ダイヤか?」

彼女はうなずいて、そうしてぽつんと云った。

「妻の形見だって。」

「ふうん。」

私は酔っている頭で、いつぞや彼女が口にした商人という言葉にその指輪を結びつけて考えた。夜半、私はひどいていたらくになった。食べたものを、すっかり戻してしまった。