Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おちばのとなり

落葉の隣り

山本 周五郎

Lesen Sie 落葉の隣り (おちばのとなり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.877 Zeichen · 57 Bildschirme

Aozora Bunko

きまった先は日本橋横山町の島田藤兵衛といって、大名道具を扱う店だということだった。

「おれは名をあげてみせるよ」参吉は珍しく昂奮した口ぶりで、なんどもそう云った、「金なんかいらねえ、一生貧乏でいい、たとえ屋根裏で飢え死にをしてもいいんだ、――その代り、これは誰それの作だと、百年さきまで名の残るような物を作ってみせるよ」

繁次は圧倒された。参吉がそんなようすをみせたのも初めてであるが、屋根裏で飢え死にをしてもいいとか、百年のちまで名の残るような仕事をする、などという言葉は、聞くのも初めてであるし、その意味もよくのみこめないので、参吉が自分の知らない世界にはいり、見あげるほど高く、えらい者になったように感じられたのであった。

――あいつはきっとそうなるだろう。

繁次はそれを確信した。そして、自分が彼の額を傷つけたときのことや、怒りもせずに、おちついた手つきで傷の手当をしていたことを思いだし、あんなところにも人にまねのできない性分があらわれていた、やっぱりえらくなるやつは違うんだな、と思った。

年があけて二月、繁次は「指定」の店へ住込みで奉公することになった。