Japanische Klassiker mit Furigana
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おちばのとなり
落葉の隣り
山本 周五郎
Lesen Sie 落葉の隣り (おちばのとなり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.877 Zeichen · 57 Bildschirme
五
繁次はまもなくその店を出た。
思いがけないことだが、おつぎという女と話したあと、彼は参吉に悪かったな、と思った。その日はいっしょに寄席へゆく筈だったが、薪小屋の前のことを見てかっとなり、「今日は躯のぐあいが悪いから」と断わってしまった。
「二人のことはわかってたんじゃねえか」と彼は自分を責めた、「どっちも古い友達同志なんじゃねえか、――繁公、てめえきざなやつだぜ」
五
いまにおひさは参吉といっしょになるだろう、参吉はきっと江戸に何人という職人になるだろうし、そうすればおひさも仕合せになれる、二人はそうなるようにきまっていたんだ。――繁次はそれを納得した。小さいじぶんからのことを思い返してみろ、二人がそうなるのは当然のことじゃないか、と彼は幾たびも自分に云った。
そこまではっきりしているのに、薪小屋の前の二人の姿を思いだすと、そのたびに胸が裂けるような痛みを感じた。いつだったか、繁次の家の勝手でおひさが泣いていて、「参吉さんもそう云った」とおひさの口から聞いたあと、胸の奥にわけのわからない苦痛が起こった。そのときの痛みに似ていて、もっとするどく深く、息ができなくなるほどの痛みなのだ。