Japanische Klassiker mit Furigana
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かつしかすなご
葛飾砂子
泉 鏡花
Lesen Sie 葛飾砂子 (かつしかすなご) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.677 Zeichen · 37 Bildschirme
月影に色ある水は橋杭を巻いてちらちらと、畝って、横堀に浸した数十本の材木が皆動く。
「とっさんここいらで、よく釣ってるが何が釣れる。」
船顎、
「沙魚に鯔子が釣れます。」
「おぼこならば釣れよう。」と縞の羽織が笑うと、舷に肱をついたのが向直って、
「何あてになるものか。」
「遣って御覧じろ。」と橋の下を抜けると、たちまち川幅が広くなり、土手が著しく低くなって、一杯の潮は凸に溢れるよう。左手は洲の岬の蘆原まで一望渺たる広場、船大工の小屋が飛々、離々たる原上の秋の草。風が海手からまともに吹きあてるので、満潮の河心へ乗ってるような船はここにおいて大分揺れる。
「釣れる段か、こんな晩にゃあ鰻が船の上を渡り越すというくらいな川じゃ。」と船頭は意気頗る昂る。
「さあ、心細いぞ。」
「一体この川は何という。」
「名はねえよ。」
「何とかありそうなものだ。」
「石見橋なら石見橋、蓬莱橋なら蓬莱橋、蛤町の河岸なら蛤河岸さ、八幡前、不動前、これが富岡門前の裏になります。」という時、小曲をして平清の植込の下なる暗い処へ入って蔭になった。川面はますます明い、船こそ数多あるけれども動いているのはこの川にこれただ一艘。