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Japanische Klassiker mit Furigana

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いっぺいそつ

蒲団・一兵卒

田山 花袋

Lesen Sie 蒲団・一兵卒 (いっぺいそつ) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.948 Zeichen · 59 Bildschirme

Aozora Bunko

いや口をきくのも厭なのだ。

「この車に乗っちゃいかん。そうでなくってさえ、荷が重すぎるんだ。お前は十八聯隊だナ。豊橋だナ」

うなずいてみせる。

「どうかしたのか」

「病気で、昨日まで大石橋の病院にいたものですから」

「病気がもう治ったのか」

無意味にうなずいた。

「病気でつらいだろうが、おりてくれ。急いで行かんけりゃならんのだから。遼陽が始まったでナ」

「遼陽!」

この一語はかれの神経を十分に刺戟した。

「もう始まったですか」

「聞こえんかあの砲が……」

さっきから、天末に一種のとどろきが始まったそうなとは思ったが、まだ遼陽ではないと思っていた。

「鞍山站は落ちたですか」

「一昨日落ちた。敵は遼陽の手前で、一防禦やるらしい。今日の六時から始まったという噂だ!」

一種の遠いかすかなるとどろき、仔細に聞けばなるほど砲声だ。例の厭な音が頭上を飛ぶのだ。歩兵隊がその間を縫って進撃するのだ。血汐が流れるのだ。こう思った渠は一種の恐怖と憧憬とを覚えた。戦友は戦っている。日本帝国のために血汐を流している。

修羅の巷が想像される。炸弾の壮観も眼前に浮かぶ。けれど七、八里を隔てたこの満洲の野は、さびしい秋風が夕日を吹いているばかり、大軍の潮のごとく過ぎ去った村の平和はいつもに異ならぬ。