Japanische Klassiker mit Furigana
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いっぺいそつ
蒲団・一兵卒
田山 花袋
Lesen Sie 蒲団・一兵卒 (いっぺいそつ) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.948 Zeichen · 59 Bildschirme
ネギ一束
ネギ一束
田山花袋
お作が故郷を出てこの地に来てから、もう一年になる。故郷には親がいるではない、家があるではない、力になる親類とてもない、村はずれの土手下の一軒家、壁は落ち、屋根は漏(も)り、畳は半ば腐れかけて、茶の間の一間は藁(わら)が敷き詰めてある。この一軒家の主が、お作のためには、天にも地にもただ一人の親身の叔父(おじ)で、お作はここで娘になった。
ぼろぼろの襤褸(つづれ)を着て、青い鼻洟(はな)を垂(た)らして、結う油もない頭髪を手拭(てぬぐ)いで広く巻いて、叔父の子を背負いながら、村の鎮守で終日田舎唄(いなかうた)を唄うころは無邪気であった。筋の多いふかし芋(いも)、麦飯の結塊(むすび)、腹の減(す)いた時には、富家の子を騙(だま)して、銭を盗み出させて、二十銭の銅貨に駄菓子(だがし)を山ほど買って食った。根性が悪いといっては、村の家々に憎まれ、若い衆に打たれ、菓物(くだもの)を盗んだといっては、追いかけて捉(とら)えられて、路傍の門に細引きでくくり付けられ、あるいは長い物干竿(ものほしざお)で、走る背なかを撲(う)たれて、路上に倒れて膝頭(ひざがしら)を石に二寸ほど切って泣いたことなどもあった。