Japanische Klassiker mit Furigana
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れんげず
蓮花図
宮本 百合子
Lesen Sie 蓮花図 (れんげず) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.591 Zeichen · 6 Bildschirme
見ると、一匹の犬が、その使の若者と共に、三和土のところに坐っている。
「まあ犬をつれて来たの?」
「いいえ。どっかの犬がついて来て離れないんです」
使は程なく帰ったが、その犬ばかりは三和土から外へ出ようとしない。
「サアもうお帰り」
「サヨナラ。サヨナラ」
お辞儀をして見せても去らぬ。敷台へ前脚をかけ、頻に尾を振り、吠いた。
「何だポチ、帰った、帰った」
一層、足袋をはいた足許にまといつくし、頸環もこわれているし、ブルドッグの雑種らしいところもあるし、私は遂に、
「じゃあお泊り」
と云った、風呂から上ったばかりであったが、私はミルクを振舞われた犬を引いて、茶の間の裏へ廻った。ラジオの柱から繩をつけて椽の下の箱へ寝られるように繋いで自分も眠った。
次の朝、日曜日であったが、起きると犬は居ぬ。犬は、裏の家へ来る人の犬であったのだそうだ。男の児が今朝、樫の木の彼方から、
「や、ポチがいらあ」
と叫んで、連れ戻した。――私と倶に暮しているYは、女ながらおかしい心をもっていて、往来で犬に出会うと、
「S、エス、エス」
と大きな声で呼ぶ。犬は尾を振らぬ。
「おや、Sじゃなかったか。