Japanische Klassiker mit Furigana
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そばもち
蕎麦餅
田中 貢太郎
Lesen Sie 蕎麦餅 (そばもち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.035 Zeichen · 8 Bildschirme
人形は人の形をしたのと牛の形をしたのとであった。
人形に水をかけてどうするだろうと季和は思った。そう思って季和が人形に注意を向けたときであった。今まで横になっていた人形が魂の入ったようにむくむくと動きだした。すると、婆さんは傍にあった小さな箱の中へ手をやって、小さな鍬や鋤の形をした物を出して前に置いた。
季和は体が硬ばったようになった。人形はその鋤を牛につけ、その牛を走らしてそのまわりを耕しはじめた。牛の後で人形は鍬を持った。まわりは見る見る耕地になって往った。婆さんはまた箱の中へ手をやって一握りの物種を取りだした。人形はそれを耕地の上へ蒔いた。
青い物の芽が簇々と生えてそれが茎になり葉になった。それは蕎麦であった。白い花がすぐ開いた。赤い茎がそれと映り合った。やがて花が落ちて黒い実が一面に見えてきた。婆さんは箱の中から小さな鎌を出した。人形はその鎌を持って蕎麦を刈った。刈る一方から実を落した。
七八升の実が婆さんの前に置かれた。婆さんはその実を隅の石臼の処へ持って往ってそれを入れて挽いた。蕎麦は小半時もかかると粉になってしまった。婆さんはその粉を篩にかけて粕を除り、それがすむと人形をはじめ農具を箱の中へ入れてしまった。