Japanische Klassiker mit Furigana
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ふきもんどう
蕗問答
山本 周五郎
Lesen Sie 蕗問答 (ふきもんどう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.898 Zeichen · 14 Bildschirme
――あ、新九郎め、小言の種を忘れたな。
義敦はそう気付いて思わずにやりとした。こうなると勝負はこっちのものである。
「どうした、用向を申さぬか」
とたたみかけて促す、「よもや秋田から健勝を祝いにきた訳でもあるまい、筆頭年寄とあれば重職、些細なことで留守城を明けてよいものではない、なにか喫急の用があってのことであろう、どうだ新九郎」
「は、御意の如く、真に、勿論……新九郎といたしましても、遙々国許より、その」
「用があれば手短かに申せ、聞こう」
「ただ今、……ただ今、申上げます」
新九郎は言句に詰った。どうしても思出せないのである、義敦は隙も与えず、
「なにを考えておる、押掛け出府は筋でないぞ、急用あらば格別、さもなくして軽々しく国許を明けるとは不埓であろう、新九郎どうだ」
「恐入り奉る、実は、実は……」
と必死に見上げたとき、新九郎の眼がふと侍女の浪江に行当った。その瞬間、実に苦しまぎれの逃げ道を彼はみつけたのである、
「真に、我儘なことを申上げまするが、実はこのたび、新九郎め、一生の妻とすべき者をみつけましたので、そのため、ぜひともお上のお許しをお願い仕るべく、……かようにお目通りを」