Japanische Klassiker mit Furigana
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うすこうばい
薄紅梅
泉 鏡花
Lesen Sie 薄紅梅 (うすこうばい) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 61.133 Zeichen · 122 Bildschirme
……もっともこの箸、万客に通ずる事は、口紅と同じだがね、ははは。」
「おって教授に預ろうよ。そんな事より、私のいうのは、昨夜それ引前を茶屋へのたり込んだ時、籠洋燈の傍で手紙を書いていた、巻紙に筆を持添えて……」
「写実、写実。」
「目の凜とした、一の字眉の、瓜実顔の、裳を引いたなり薄い片膝立てで黒縮緬の羽織を着ていた、芸妓島田の。」
「うむ、それだ。それは婀娜なり……それに似て、これは素研清楚なり、というのを不忍の池で。……」
と、半ば口で消して、
「さあ、お酌だ。重ねたり。」
「あれは、内芸者というんだろう。ために傘を遠慮した茶屋の女房なぞとは、較べものにならなかったよ。」
「よくない、よくない量見だ。」
と、法師は大きく手を振って、
「原稿料じゃ当分のうち間に合いません。稿料不如傘二本か。一本だと寺を退く坊主になるし、三本目には下り松か、遣切れない。」
と握拳で、猫板ドンとやって、
「糸ちゃん! お互にちっと植上げをする工夫はないかい。」
と、喟然として歎じて、こんどは、ぐたりとその板へ肘をつく。
「へい、へい、遅わりましてござります。」
爪の黒ずんだ婆さんの、皺頸へ垢手拭を巻いたのが、乾びた葡萄豆を、小皿にして、兀げた汁椀を二つ添えて、盆を、ぬい、と突出した。