Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うすこうばい

薄紅梅

泉 鏡花

Lesen Sie 薄紅梅 (うすこうばい) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 61.133 Zeichen · 122 Bildschirme

Aozora Bunko

町に、隠れたる本草家があって、その用途を伝授しても、鎌を買う資本がない、従ってかの女、いや、あの野郎の狼藉にまかせてあるが、跳梁跋扈の凄じさは、時々切って棄てないと、木戸を攀じ、縁側へ這いかかる。……こんな荒地は、糸七ごときに、自からの禄と見えて、一方は隣地の華族邸の厚い塀だし、一方は大きな植木屋の竹垣だし、この貸屋の背戸として、小さく囲った、まばら垣は、早く朽崩れたから杭もないのに、縁側の片隅に、がたがただけれども、南瓜の蔓が開け閉てする、その木戸が一つ附いていて、前長屋総体と区切があるから、およそ一百坪に余るのが、おのずから、糸七の背戸のようになっている。

(――そこへ遁げた――)

糸七は、南瓜の葉を被らんばかり、驚破といえば躍越えて遁げるつもりの植木屋の竹垣について、薄の根にかくれて、蝦蟇のように跼んで、遁げた抜けがらの巣を――窺えば――

――籠るのは、故郷から出て来て寄食している、糸七の甥の少年で、小説家の巣に居ながら、心掛は違う、見上げたものの大学志願で、試験準備に、神田辺の学校へ通って、折からちょうど居なかった。

七十八歳になるただ一人、祖母ばかり。