Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
むし
虫
江戸川 乱歩
Lesen Sie 虫 (むし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.053 Zeichen · 86 Bildschirme
彼は隙見の度毎に、一つずつ、彼女の肉体の新しい魅力を発見した。襖の隙から、薄暗い室内の、蚊帳の中で(もう其頃は夏が来ていたから)海底の人魚の様に、ほの白く蠢く、芙蓉の絽の長襦袢姿を眺めたことも、一度や二度ではなかった。
その様な折には、彼女の姿は、母親みたいに懐しく、なよなよと夢の様で、寧ろ幽幻にさえ感じられた。
だが、まるで違った場面もあった。そこでは、彼女は物狂わしき妖女となった。振りさばいた髪の毛は、無数の蛇ともつれ合って○○○かなぐり捨てた全身が、まぶしいばかり桃色に輝き、○○○○○○○、空ざまにゆらめき震えた。柾木は、その兇暴なる光景に耐えかねて、ワナワナと震い出した程である。
ある晩のこと、彼はこっそりと、二人の隣の部屋に泊り込んで、彼等が湯殿へ行った間に、境の砂壁の腰貼りの隅に、火箸で小さな穴をあけた。これが病みつきとなって、それ以来、彼は出来る限り、二人の隣室へ泊り込むことを目論んだ。そして、どの家の壁にも、一つずつ、小さな穴をあけて行った。彼はこの狐の様に卑劣な行為を続けながら、ふと「俺はここまで堕落したのか」と、慄然とすることがあった。