Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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むし

虫

江戸川 乱歩

Lesen Sie 虫 (むし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.053 Zeichen · 86 Bildschirme

Aozora Bunko

八

などと独ごちて、ひどく得意を感じさえした。

八

邸について、車を車庫に納めると、もう一度身の廻りを点検して、シャンとして玄関へ上り、大声に台所の婆やを呼び出した。

「お前済まないが、一寸使いに行って来ておくれ。浅草の雷門の所に、○○という洋酒屋があるだろう。あすこへ行ってね、何でもいいから、これで買える丈けの上等の葡萄酒を一本取ってくるのだ。サア、ここにおあしがある」

そういって、彼が十円札を二枚つき出すと、婆やは、彼の下戸を知っているので、「マア、お酒でございますか」と妙な顔をした。柾木は機嫌よくニコニコして「ナニ、一寸ね、今晩は嬉しいことがあるんだよ」と弁解したが、これは、婆やが雷門まで往復する間に、芙蓉の死骸を、土蔵の二階へ運ぶ為でもあったけれど、同時に又、この不可思議な結婚式の心祝いに、少々お酒がほしかったのでもあった。

婆やの留守の三十分ばかりの間に、彼は魂のない花嫁を、土蔵の二階へ運んだ上、例の自動車のクッションの下の仕掛けを、すっかり取りはずして、元々通りに直して置く暇さえあった。こうして彼は、最後の証拠を堙滅してしまった訳である。

この上は、あかずの土蔵へ闖入して、芙蓉の死骸そのものを目撃しない以上、誰一人彼を疑い得る者はない筈であった。