Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じゃせいのしゅうねん

蛇性の執念

大倉 燁子

Lesen Sie 蛇性の執念 (じゃせいのしゅうねん) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.981 Zeichen · 38 Bildschirme

Aozora Bunko

『先生までそんな事を思召してらっしゃるんでございますか? それじゃ余りでございますわ。綾子様がお可哀想でございます』

お梶さんは何だか話したそうな素振でしたが、電車の中では何ともしようがないので、

『どこかでお茶でもおのみになりませんか?』

誘いかけてみますと、喜んで直ぐ同意いたしました。

お梶さんは自分の姉さんが急病のため、四五日宿下りしていたが、病人も快くなったし綾子さんの事が気になるので、明日あたりはお屋敷へ帰る積りだと申しました。今日は病人からの頼まれで買物に出たのだといいました。

二人は連れ立って、静かな喫茶店を撰んで入りました。

『綾子様はほんとにお可哀想でございますよ。先生、毎日泣き通していらっしゃいます』

『そんなに武雄さんをお嫌いだったんですかねえ、それほどとも見えなかったけれど――』

『先生は本当のいきさつを御承知ないからでございます。どういうものか武雄様は、文夫様と綾子様とがお親しくなると同じ頃から綾子様にお附き纏いになって、誰もいないと眼の色変えていろいろ仰しゃるんでございますよ。とても怖くって、文夫様があんなにご親切でなかったら、迚も綾子様は武雄様が怖くって、御木井のお邸へお嫁様には入らっしゃらなかったでございましょう。