Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じゃせいのしゅうねん

蛇性の執念

大倉 燁子

Lesen Sie 蛇性の執念 (じゃせいのしゅうねん) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.981 Zeichen · 38 Bildschirme

Aozora Bunko

4

ます』

綾子さんはさめざめと泣くのでした。

4

そこへ宿下りをしていたお梶さんが帰って参りました。

綾子さんはお梶さんの顔を見ると急に元気づいたので、私まで何だか安心したような気がいたしました。お梶さんは文夫さんのお母様とは乳姉妹で、また文夫さんの乳母でもありましたので、今は文夫さんに仕えるような心持ちで、心から綾子さんを大事にして居ました。

『梶に見せて上げるものがあるわよ』

綾子さんはじぶくろからキャビネ形の写真を出して来ました。

『こんなお写真見たことある? 文夫さまのお書斎をお片付けしたら、お机の上の書簡紙の間から出たんだけれどもね』

お梶さんは写真を手にして、一と目見ますと忽ち変な表情をいたしました。

『このお写真が――、まあ! どうして――。お書斎にございましたんですって?』

『梶は知ってるんでしょう? 私、ついぞこんなお写真拝見したことがなかったわ』

『不思議でございますねえ。これがどうしてお書斎にございましたか知ら?』

お梶さんはじっとその写真を見詰めているようなのですが、実はその眼はお写真を見ているのでもなく、何かこう幻影を追いながら、深い物思いにでも沈んでいるという風なのです。