Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たんぱくせき

蛋白石

宮本 百合子

Lesen Sie 蛋白石 (たんぱくせき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.056 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

でも私が今思い出せるのは倉の明り窓からのぞいた隣の家の庭だけです。

まるで女の様に静かに育ったんですからねえ。」

「そんならも一寸しなやかな名をおもらいんなりそうなもんでしたのにねえ、

随分いかつい名じゃあありませんか。」

千世子は笑いながら云った。

今持って居る守り札の袋は祖母の守り剣の錦で作ったんだとか祖母も眼の細い瓜ざね顔の歌麿の画きそうな美人だったとも云った。

青い椅子によって柔いクッションに黒い髪の厚い頭をうずめて一つ処を見つめて話しつづける肇は自分で自分の話す言葉に魅せられて居る様に上気した顔をして居た。

千世子はだまって肇の長い「まつ毛」を見て居た。

自分の過去なり現在なりをまがりなりにも幾分かは芸術的なものに仕様として居る肇の事だから誇張して云って居る処が有るかもしれない。

けれ共肇の話す生い立ちは「うそ」にしろ「出たらめ」にしろ気持の悪い作り事ではなかった。

下らないわかりきった事に「いい加減」を云われると千世子は「かんしゃく」を起したけれ共美くしい幾分か芸術的な「うそ」は自分もその気になって聞く事がすきだ。

自分の前に居るまだ二十一寸すぎの青年とその話しとを結びつけて種々な想像を廻らして千世子はなぐさんで居た。