Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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くものゆめ

蜘蛛の夢

岡本 綺堂

Lesen Sie 蜘蛛の夢 (くものゆめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.189 Zeichen · 298 Bildschirme

Aozora Bunko

その途中、折井君は予にむかいて「あなたは先月からここに御逗留だそうですが、ここらの挽地物屋で、小鳥をたくさんに飼っている家はありませんか。」と訊く。それはお冬さんの家なり。予は正直に答えると、折井君はまた思案して「そのお冬というのはどんな女です。」と重ねて訊く。予は知っているだけのことを答えたり。

予はここで白状す。お冬さんがこの事件に関係があろうとは思われず。たとい関係があるとしても、おとなしいお冬さんが大の男を絞め殺そう筈はなし、どのみち直接にはなんの関係もないらしく思われながら、予は妙に気おくれがして、お冬さんが家出のことをこの探偵の前にさらけ出すのを躊躇したり。別に子細はなし、若いお冬さんの秘密を他に洩らすのがなんだか痛々しいような気がしたるためなり。他のことはみな正直に言いたれど、この事だけは暫く秘密を守れり。

折井君には途中で別れ、田島さんは予の宿に来たりて新聞の原稿を書く。きょうは坐っていても汗が出る。陰りて蒸し暑く、当夏に入りて第一の暑気かも知れず。田島さんは忙がしそうに原稿を書き終りて、夕方の汽車で宇都宮へ帰る。予は停車場まで送って行く。