Japanische Klassiker mit Furigana
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こうもり
蝙蝠
岡本 かの子
Lesen Sie 蝙蝠 (こうもり) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.107 Zeichen · 23 Bildschirme
子供といっても長男はもう工科の学生で、二十三歳になり、妹は婚約中の十九になっていた。
一色の海岸にうち寄せる夕浪がやや耳に音高く響いて来て、潮煙のうちに、鎌倉の海岸線から江の島が黛のように霞んでいる。
兄妹は逗子へ泳ぎに行き、友だちのところへ寄ったと見えてまだ帰らない。涌子夫人は夫に食事の世話をしつつ、自分も食べ終った。二人とももう脂肪気の多い食品はなるべく避ける年配になっていた。
近くに※釣の火が見え出し、沖に烏賊釣りの船の灯が冷涼しく煌めき出した。
冷した水蜜桃の皮を、学者風に几帳面に剥き乍ら博士は云った。
「じつに、静かな夕方だな」
「そうでご座いますね」
涌子夫人はまだこの時代に、この辺にはちらほらする蝙蝠の影を眺めていた。
「油壺の方で、毎晩食後にいろいろ教職員や学生の身の上話も出るのだが、あれでなかなか複雑な経歴なものもある。それに較べると、僕とお前のコースなぞは、まあ平凡といっていいね」
博士は、この平凡という言葉につまらないという意義は響かせなかったが、夫人にはただそれだけの言葉ではもの足りないような思いがした。夫人は何気なさそうに
「そうでご座いますね」