Japanische Klassiker mit Furigana
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ふくめんのぶとうしゃ
覆面の舞踏者
江戸川 乱歩
Lesen Sie 覆面の舞踏者 (ふくめんのぶとうしゃ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.827 Zeichen · 30 Bildschirme
そして、云い難き悔恨の情が、私の心臓をうつろにするかと怪まれました。
泥酔していたとはいえ、夢のように覚えています。昨夜、闇の乱舞が絶頂に達した頃、例のボーイが、そっと私達の側へ来て囁きました。
「お車の用意が出来ましてございます。御案内致しましょう」
私は婦人の手を携えて、ボーイのあとにつづきました。(どうして、あの時、彼女はあんなに従順に、私に手を引かれていたのでしょう。彼女もまた酔っていたのでしょうか)玄関には一台の自動車が横づけになっていました。私達がそれに乗ってしまうと、ボーイは運転手の耳に口をつけて、「十一号だよ」と囁きました。それが私達の組合せの番号だったのです。
そして、多分ここの家へ運ばれたのです。その後のことは一層ぼんやりして、よくは分りませんけれど、部屋へ入るなり、私は自分の覆面をとったようです。すると、相手の婦人は「アッ」と叫んで、いきなり逃げ出そうとしました。それを夢のように思出すことができます。でもまだ、酔いしれた私は、相手が何者であるかを推察することができなかったのです。凡て泥酔のさせた業です。そして、今この置手紙を見るまで、私は彼女が友人の細君であったことさえ知らなかったのです。