Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふくめんのぶとうしゃ

覆面の舞踏者

江戸川 乱歩

Lesen Sie 覆面の舞踏者 (ふくめんのぶとうしゃ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.827 Zeichen · 30 Bildschirme

Aozora Bunko

五

だが、それは皆私の得手勝手というものでしょう。私さえあのように泥酔しなかったら、こんな、世間に顔向けもできないような、不愉快な結果を招かずとも済んだのですから。

その時の、なんとも云えぬ不愉快な感じは、いくら書いても足りません。兎も角、私は夜の明けるのを待ち兼ねて、その家を出ました。そして、まるで罪人ででもあるように、白粉こそ落しましたけれど、殆ど昨夜のままの姿を車の幌に深く隠して家路についたことであります。

五

家に帰っても、私の悔恨は、深まりこそすれ、決して薄らぐ筈はありません。そこへ持ってきて、私の女房は、彼女にして見れば無理もないことでしょうが、病気と称して一間にとじ籠ったきり、顔も見せないのです。私は女中の給仕でまずい食事をしながら、悔恨の情を更に倍加したことであります。

私は、会社へは電話で断っておいて、机の前に坐ったまま、長い間ぼんやりしていました。眠くはあるのですが、とても寐る気にはなれません。そうかといって、本を読むことも、その外の仕事をすることも、無論駄目です。ただぼんやりと、取返しのつかぬ失策を、思いわずらっているのでした。

そうして、思いに耽っている内に、私の頭にふと一つの懸念が浮んで来ました。