Japanische Klassiker mit Furigana
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おやはながめてかんがえている
親は眺めて考えている
金森 徳次郎
Lesen Sie 親は眺めて考えている (おやはながめてかんがえている) von 金森 徳次郎 (かなもりとくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.403 Zeichen · 29 Bildschirme
実は郷里の名古屋へ行って、兄の家に泊めて貰っていた。
ところで主人が居なくなった東京の故宅には、一小事変が起ったのである。それは別事ではなく、妻の身体に生理的異変が起ったのである。その時、私は五十一歳、妻は四十二歳であったが、妻は主人が逃亡中に子供が出来たことに一種の不安を生じたらしい。前途がどう展開するかも知れず、分娩の時期が後れるかも知れず、私が果して生きぬくかにも不安があるので、「オボエアリ」との保証を得るにも心もとないのであった。
幸にして、一月半の後、私は東京にかえり、晴耕雨読というか、植木をいじったり、本を読んだり、時には碁を打ったりして外観上平静に生きた。
機縁は熟して、その年十月十七日神甞祭の日に、玉の如く美わしくはないが、玉の如く丸い男の子が出生した。日どりの関係は、神さまがよくさばいていたのである。
ところが、ここにも、浪人生活らしいものがからみついている。その前日友人が訪問して来て、碁を打ち出したのである。夜もおそくなり、暁になった。碁というものは厄介なものである。女中さんは寝てしまう、妻が茶や菓子をもって来る。その面相たるや頗る険悪である。