Japanische Klassiker mit Furigana
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おやどりことり
親鳥子鳥
佐々木 邦
Lesen Sie 親鳥子鳥 (おやどりことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.828 Zeichen · 181 Bildschirme
「しかし初めてお目にかかった折は漆黒でしたよ」
「いや、それです。染めていたのです。あの折はあなたも一杯食わされたのですよ」
と荒川さんはニコニコした。
「然うですか。ペテンのお上手なのは碁ばかりじゃないんですね」
「恐れ入ります。しかしあなたは例の国境問題に頭を悩ましていられた丈けに、あの折私の髪に目をつけましたよ。『羨しいですな、あなたは』と仰有いました」
「然うでしたかな。能く覚えません」
「それから髪の毛の養生法までお訊きになりましたよ。私は何と答えたか覚えていませんが、恐らく口から出委せのことを伝授したのでしょう。まさかこれは染めているのですとも言えませんからね。何にしても戦争最中で明日も知れない命です。あなたが髪の毛の保存法を手帳に書き留めたには敬服しました。余裕綽々でしたな」
「ははあ、あなたもあの際に白髪染を怠らなかったとは、承わって敬服します。流石に閑日月ありですな。人を瞞着することは別問題として」
とお祖父さんは条件をつけた。
「この白髪頭では心ならぬ嘘をついて彼方此方へ面目ないです。少佐時代からポツポツ来ました。親譲りです。しかし軍人は年が寄りたくありません。