Japanische Klassiker mit Furigana
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おやどりことり
親鳥子鳥
佐々木 邦
Lesen Sie 親鳥子鳥 (おやどりことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.828 Zeichen · 181 Bildschirme
『然うでしたか。それで安心致しました。実は臨床医典を調べて見ましたが、髪の毛が針鼠になるという徴候は何んな病気にもありませんから困っていたのです』とこの軍医も正直ものでした」
「悉皆露顕に及んだのですな」
「いいや、露顕は軍医だけです。早速散髪をさせましたから、白髪頭になりました。病み上りで真白と来ていますから、自分ながら年が寄ったと思いましたよ。その頃から見舞の客に会えるようになったので、高熱の為めこの通り白髪になったと申しました。すると『艦長殿はチブスで悉皆白くなられた』と皆信用してくれました。これが嘘のつき納めでしたろうね」
「何処までも嘘で固めますな」
「禍を転じて福となす。兵法の極意はこの辺にあります。如何ですかな?」
と荒川さんは為たり顔をした。
「ホトホト感心致しました。横着な男もあればあるものです」
「お互に頭の説明で時間を潰しました。一局願いましょうか?」
「何うぞ、しかし黒白を誤魔化す妙を得て居られるから大に警戒を要します」
と冗談を言って、お祖父さんは碁石を握った。間もなくパチリパチリという音がする。
離れは隠居だから始終閑散だ。お祖父さんとお祖母さんはもう人生の仕事を一通り終って静かに余生を楽むばかりである。