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Japanische Klassiker mit Furigana

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おやどりことり

親鳥子鳥

佐々木 邦

Lesen Sie 親鳥子鳥 (おやどりことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.828 Zeichen · 181 Bildschirme

Aozora Bunko

尋常科は半ばお伽噺の世界に住んでいる。斯う考えると、思い当ることがある。千代子は日外僕の万年筆を弄って先端を損めた時、

「又買えば宜いじゃないの?」

と言って、平気なものだった。試みに、

「お金は何うするの?」

と訊いて見たら、

「お母さんにお貰いなさいな。沢山持っていてよ」

と教えてくれたが、お母さんは銀行へ行って貰って来るものと信じているのだ。

実は僕もつい先頃まで尋常科の思想でいた。少くとも大人にさえなれば何うにかなるのだろうぐらいに考えていた。生活問題を念頭に置かず、二円五十銭を大金と思っている時代は貴い。正に聖人君子の心境である。然るに僕はもう慾が出て来た。何になろうかと、将来の生活問題に屈託している。素より親の財産を当てにする気はないが、お祖父さんが陸軍将校の古手で、お父さんが新聞記者とあれば、家が金持でないことは分っている。お祖父さんが日清日露の両役に勲功を立てたのは、武臣銭を愛さなかった証拠である。

「ねえ、荒川さん、斯うなったら一日でも長生をして恩給を余計取ってやることですよ」

と今頃漸く世間並みの心掛けに努めている。お父さんにしても新聞記者に金は出来るものでないという自信があるから、至極諦めが好い。