Japanische Klassiker mit Furigana
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おやどりことり
親鳥子鳥
佐々木 邦
Lesen Sie 親鳥子鳥 (おやどりことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.828 Zeichen · 181 Bildschirme
殊に久作さんは難物だ。大叔父さんの家の小作人で、この夏お祖父さんが帰郷中鮎釣で懇意になったのだそうだ。四十歳の今日まで村から五里と出たことのないのを、その折の勧誘に従って、お祖父さんを頼りにひょっくりやって来たのである。
「よく家が分ったね」
とお祖父さんは何よりも先ず感心した。
「俺は人を恐れないだから一々訊きますわ」
と久作さんは得意だった。成程、話の模様によると、電車も一番近いところを乗って、停留場から一直線に来ている。
「まあまあ、ゆっくり見物するさ」
とお祖父さんは珍客を寛ろがせた。
久作さんは手土産の干鮎を並べて、そのまま離れで話し込んだ。僕はお祖父さんが獲物だと言って持って帰った鮎は皆この小作人が釣ったのだと初めて承知した。老人はナカナカ狡い。夕食後久作さんはラジオを聴きに茶の間へ来て、皆と近づきになった。
「お郷里でもラジオをおやりでしょうね?」
とお母さんが訊いた時、
「はい。旦那はんのとこにありますから、驚かないです」
と答えた。何も此方は驚かす積りでもないのにと思っていると、
「郷里からお出になると此方は随分賑かでしょう?」
とお父さんが社交辞令に努めた。