Japanische Klassiker mit Furigana
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ろんごものがたり
論語物語
下村 湖人
Lesen Sie 論語物語 (ろんごものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.688 Zeichen · 266 Bildschirme
「1わしは天に見放されたのだ、天に見放されたのだ!」
と、吾知らず叫んだ。そして柩の前に立った時、彼は遂にたまりかねて、声を放って泣きじゃくった。その平常と餘りにちがった取乱しように、伴をして来た門人も驚いて、帰りがけに云った。
「2今日は先生も声をあげてお泣きになりましたね。」
孔子の心の動揺は、まだ完全に治まっていなかった。彼は答えた。
「そうか、そんなにわしは泣いたのか。だが、顔回のために泣かないで、誰のために泣けというのじゃ。」
日が経っても、彼の悲しみは容易に薄らがなかった。声を放ったり、涙を流したりすることは、もう二度となかったが、その代りに、「永遠の孤独」が彼の胸の中に冷たく翼をやすめた。「沈默」が彼の最もよき伴侶となった。そして入日と水の流れとが、日毎に彼を河原に引きつけた。
彼は今日も河原に立って、考えるのであった。
(自分はもう余命いくばくもない。自分は自分の一生を顧みて、決してなまけたとは思わない。分秒のたゆみもなく、身を修め、古聖の道にいそしんで来た。自分の体得した道は、つとめてこれを諸侯に説き、且つ三千の子弟に伝えた。また詩書春秋を整理し、礼楽を正し、易を究明して、それらの文献を万世に伝える準備もほぼ完成した。