Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.113 Zeichen · 35 Bildschirme
――親きょうだいの身寄りもないというので、新出先生がここの賄所で手伝いでもしていろと云われた。
けれども女は逃亡し、どこへいったかいまだに不明だということであった。
これらのことは半太夫から聞いたし、養生所の病室にはいまでも二人、去定が引取って来て療養している女がいた。登はその二人の治療には助手を勤めているが、外診でみくみ町へいったことはなかった。――そしてその日、本郷の通りを湯島天神のほうへ曲ったとき、彼はようやく去定のいく先に見当がついた。
「保本は、――」門跡下屋敷の見えるところまで来たとき、去定は足を緩めながら登に問いかけた、「廓とか岡場所などへいったことがあるか」
登はちょっと口ごもった、「はあ、長崎にいたとき、三度ばかり」
「医者としてか、客としてか」
登は汗を拭いた、「学友にさそわれましたので、遊びにいったのですが、むろん」と彼は力をこめていった、「女には触れませんでした」
「ほう」と去定が云った。
「私には江戸に約束した娘がいたのです」登はむきになって云った、「その娘は私の留守ちゅうに他の男と、――いや、その娘は約束をやぶりましたが、私は待っていてくれるものと信じていたものですから、さそわれて遊里へはいっても、女に触れる気にはならなかったのです」