Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.113 Zeichen · 35 Bildschirme
四
そして急に舌打ちをした。
「ばかな」と去定は足踏みをした、「なにをいきまくんだ、今日はどうかしているぞ」
登は殆んどあっけにとられていた。
――盗み、裏切り、友を売った。
いったいどういうことだろう。現実にそんな経験をしたのか、それとも観念的な話だろうか。いずれにしても、なぜ突然こんなことを云いだしたのだろう、登はそう思いながら、黙って去定に付いて歩いた。
四
その夜、――例によっておそい晩飯が済んでから、登は去定に呼ばれてその部屋へいった。去定は机の脇にある包みを取って、登のほうへ差出し、長いあいだ済まなかったと云った。
「なんでしょうか」と登は訊いた。
「いつか借りた筆記と図録だ」
登は頷いた。それは彼が長崎へ遊学したときのもので、各科の病理や解剖、治療、調剤にわたる記録で、この養生所の見習医になったとき、去定に求められて呈出したものであった。
「必要なところを筆写させてもらった」と去定は云った、「これは自身のためではなく、病人たちのために役立てるのだ、不服かもしれないが了解してくれ」
登は腋の下に汗のにじむのを感じた。それは、初めにその筆記図録を出せと云われたとき、彼は頑強に「これは私のものだ」