Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅみのいでん
趣味の遺伝
Lesen Sie 趣味の遺伝 (しゅみのいでん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.235 Zeichen · 77 Bildschirme
雑談の底には啾々たる鬼哭が聞える。とすれば怖と云う惰性を養成した眼をもって門番の諧謔を読む者は、その諧謔を正面から解釈したものであろうか、裏側から観察したものであろうか。裏面から観察するとすれば酔漢の妄語のうちに身の毛もよだつほどの畏懼の念はあるはずだ。元来諷語は正語よりも皮肉なるだけ正語よりも深刻で猛烈なものである。虫さえ厭う美人の根性を透見して、毒蛇の化身すなわちこれ天女なりと判断し得たる刹那に、その罪悪は同程度の他の罪悪よりも一層怖るべき感じを引き起す。全く人間の諷語であるからだ。白昼の化物の方が定石の幽霊よりも或る場合には恐ろしい。諷語であるからだ。廃寺に一夜をあかした時、庭前の一本杉の下でカッポレを躍るものがあったらこのカッポレは非常に物凄かろう。これも一種の諷語であるからだ。マクベスの門番は山寺のカッポレと全然同格である。マクベスの門番が解けたら寂光院の美人も解けるはずだ。
百花の王をもって許す牡丹さえ崩れるときは、富貴の色もただ好事家の憐れを買うに足らぬほど脆いものだ。美人薄命と云う諺もあるくらいだからこの女の寿命も容易に保険はつけられない。