Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅみのいでん

趣味の遺伝

夏目 漱石

Lesen Sie 趣味の遺伝 (しゅみのいでん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.235 Zeichen · 77 Bildschirme

Aozora Bunko

――うちにおっても忘れる間はないのですけれども――年をとりますと、御湯に行くのも退儀になりましてね」

「時々は少し表をあるく方が薬ですよ。近頃はいい時候ですから……」

「御親切にありがとう存じます。親戚のものなども心配して色々云ってくれますが、どうもあなた何分元気がないものですから、それにこんな婆さんを態々連れてあるいてくれるものもありませず」

こうなると余はいつでも言句に窮する。どう云って切り抜けていいか見当がつかない。仕方がないから「はああ」と長く引っ張ったが、御母さんは少々不平の気味である。さあしまったと思ったが別に片附けようもないから、梅の木をあちらこちら飛び歩るいている四十雀を眺めていた。御母さんも話の腰を折られて無言である。

「御親類の若い御嬢さんでもあると、こんな時には御相手にいいですがね」と云いながら不調法なる余にしては天晴な出来だと自分で感心して見せた。

「生憎そんな娘もおりませず。それに人の子にはやはり遠慮勝ちで……せがれに嫁でも貰って置いたら、こんな時にはさぞ心丈夫だろうと思います。ほんに残念な事をしました」

そら娶が出た。くるたびによめが出ない事はない。