Japanische Klassiker mit Furigana
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あしがるほうこう
足軽奉公
山本 周五郎
Lesen Sie 足軽奉公 (あしがるほうこう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.949 Zeichen · 28 Bildschirme
六
「云うのも厭か」
忠秋はにっと笑っていった。
「……妹を奉公に出すのも厭、おのれの能を知らせるのも厭、……それもよかろう、しかし藤六、忠秋は我儘者だ、こうと思ったことは必ずやりとおしてみせる、必ずだ、それを忘れるな」
六
忠秋の言葉は棘のように、胸に刺さって忘れられなかった。……ひとつの生き方を掴んで、新しく始めた生活が、思わぬところから突き崩されそうに思われる、――どんな難題がふりかかってくるか、藤六はそのときを待つ不安定な気持で、しかしなにごとが起ろうとも退転すまいと心にきめながら、同じようにめだたぬ勤めを励みとおした。
秋十月になってはじめて五日の祝いをした。三春を去って以来おちつかず、いとまもないままに過して、そのときようやく祝いの日を始める気持になったのである。……酒ひと瓶と湖の小魚、汀の心を籠めた膳であったが、貧しい燭の下に二人相対して坐ったときは、祝いの気持よりも寂しさが身にしみた。一年有余まえ、三春藩にいたときは、いつも鉄之助が客に来て、楽しい宵を過したものである。殊に汀には、間もなく鉄之助から結婚の申し出があるという、ひそかな期待もあって、貧しい食膳が輝くようにさえ思えた。