Japanische Klassiker mit Furigana
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おどるちへいせん
踊る地平線(上)
谷 譲次
Lesen Sie 踊る地平線(上) (おどるちへいせん) von 谷 譲次 (たにじょうじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 168.926 Zeichen · 332 Bildschirme
雨漏りというようなことを瞬間私は想像したのだが、言うまでもなく、天井には隙間はおろか汚点ひとつなく、第一、ここは二階で、うえにもう一つ三階があるのだし、それに、私は何という馬鹿だったろう、きょうすこしも雨の降らなかったことは、誰よりも、一日外出していた私が承知しなければならないはずだった。また事実珍らしくいいお天気だったからこそ、私たちもこうして朝から夕方まで歩きまわったわけだった。
『不思議だなあ。』
『妙なことがあるものですわね――おかみさんが間違って水をこぼして、そのまま気がつかずに、出て行ったんじゃないでしょうか、お掃除のときにでも。』
彼女が思慮ぶかそうな眼をして言った。私たちはまだ、靴のうえに蹲跼みこんでいたのだ。彼女のこの想定にも一理ある。私はそう思った。で、私は水の動揺しないようにしずかに靴を持ち上げておいて、犬のように床に手をついて注意してそこらを撫でまわしてみた。もし、なんらの故意と技巧なしに靴の上から水をこぼして、偶然それが、こう今にもあふれそうに内部にそそがれたものならば、これだけの分量の水が靴を満たすためには、一足の靴ぜんたいはもちろん、その周囲の敷物一体が、より多分の水量を受けたものであろうことは、ごく自然に考えざるを得ない。