Japanische Klassiker mit Furigana
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おどるちへいせん
踊る地平線(上)
谷 譲次
Lesen Sie 踊る地平線(上) (おどるちへいせん) von 谷 譲次 (たにじょうじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 168.926 Zeichen · 332 Bildschirme
うと決心したのである。
三度目のつぎの日から、私たちは朝、大きな音を立てて外出し、おかみさんが掃除をすますのを待って、すぐに、私だけひとりこっそり帰って寝台の下にひそんだ。そして、靴がひとりでに水を吹くかも知れない奇蹟を、根気よく待ちかまえたのだが――そう長く待つ必要はなかった。
この冒険をはじめて二日めの正午近くだった。私は、寝台の下に腹這いに隠れて、ただぼんやりしてるわけにも往かないから、自分のこの使命と立場をときどき思い出しながら本を読んでいるのだが、ふと室内に衣ずれの音がしたような気がして、頁から眼を離した。そうしてすこし首をまげると、寝台の脚をすかして向うの大鏡が見える。何気なくその鏡にうつっているものが眼にはいった私は、声を立てるところだった。
レムではない。女なのだ。
どこから来たのか、下宿のおかみさんより二つ三つ年上で、小ざっぱりしたなりの、ふとった女である。そとから這入って来たものでないことだけは一目でわかった。部屋着らしいドレスに上穿をはいていたからだ。それが、すぐそばで私が見てるとも知らず、じつに世にも生真面目な顔で、提げてきた水入の水を非常に注意ぶかく、そこにわざと招待的にぬぎすててある私の靴のひとつへあけ出したものだ。