Japanische Klassiker mit Furigana
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れんかんき
連環記
幸田 露伴
Lesen Sie 連環記 (れんかんき) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 49.281 Zeichen · 95 Bildschirme
源信は何処にも居なかった。やがて、ここぞと思う室の戸を寂心は引開けた。すると是は如何に、眼の前は茫々漠々として何一ツ見えず、イヤ何一ツ見えないのでは無い、唯是れ漫々洋々として、大河の如く大湖の如く大海の如く、々たり瀲々たり、汪々たり滔々たり、洶たり沸たり、煙波糢糊、水光天に接するばかり、何も無くして水ばかりであった。寂心は後へ一ト足引いたが、恰もそこに在った木枕を取って中へ打込み、さらりと戸をしめて院外へ出て帰ってしまった。源信はそれから身痛を覚えた。寂心が来て卒爾の戯れをしたことが分って、源信はふたたび水を現じて、寂心に其中へ投げ入れたものを除去させた。源信はもとの如くになった。
此の談は今の人には、ただ是れ無茶苦茶の譚と聞えるまでであろう。又これを理解のゆくように語りわけることも、敢てするに当るまい。が、これは源信寂心にはじまったことではなく、経に在っては月光童子の物語がこれと同じ事で、童子は水観を初めて成し得た時に、無心の小児に瓦礫を水中に投げ入れられて心痛を覚え、それを取出して貰って安穏を回復したというのである。伝に在っては、唐の法進が竹林中で水観を修めた時に、これは家人が縄床上に清水があるのを見て、二ツの小白石を其中に置いたので、それから背痛を覚え、後また其を除いて貰って事無きを得たという談が