Japanische Klassiker mit Furigana
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さけもたべものも
酒も食べ物も
山本 周五郎
Lesen Sie 酒も食べ物も (さけもたべものも) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.845 Zeichen · 6 Bildschirme
「どういう物が好きか」と訊かれるたびに、私は「うまい物が好きです」と答える。皮肉でもないしふざけているのでもない、事実そのとおりなのである。あたりまえなことを言うな、と鼻白む人もあるかしれないが、世間には馬の飼葉同様な物でも平気で食べて、結構満足そうにしている人が少なくない、ということもおわかりになるでしょう。
私は小さいじぶんから食いたしんぼで、食いしんぼに「た」のはいるくらいで、おまけに子供らしくない小面の憎いもの好みをしたらしい。
「ほんとに子供のようじゃない」
おふくろや親類の人たちに、よくそう言われたのをまだ覚えている。鯛の刺身より脂の乗った小ぶりの目刺のほうが好きだったし、身の多い胴のところより頭の部分がよく、平目の切身はえんがわだけ集めて食べる、牛肉でも適当に脂肪が付いていないと箸を出さなかった。めしはどんなに少なくってもいいが、おかずは三品ぐらいないと機嫌が悪く、これにはおふくろはずいぶん気骨を折ったらしい。
いまどきこんなことを言うと、聞く人のほうでせせら笑うだろう。私自身が子供のときそれをせせら笑ったのであるが、私の家はむかし伝統の古い武家だったそうで、――そら、もうあなたは笑おうとしている、だが私はじつを言うと笑うどころではなかった。