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Japanische Klassiker mit Furigana

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のわき

野分

夏目 漱石

Lesen Sie 野分 (のわき) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.508 Zeichen · 189 Bildschirme

Aozora Bunko

初時雨と云うのだろう。豆腐屋の軒下に豆を絞った殻が、山のように桶にもってある。山の頂がぽくりと欠けて四面から煙が出る。風に連れて煙は往来へ靡く。塩物屋に鮭の切身が、渋びた赤い色を見せて、並んでいる。隣りに、しらす干がかたまって白く反り返る。鰹節屋の小僧が一生懸命に土佐節をささらで磨いている。ぴかりぴかりと光る。奥に婚礼用の松が真青に景気を添える。葉茶屋では丁稚が抹茶をゆっくりゆっくり臼で挽いている。番頭は往来を睨めながら茶を飲んでいる。――「えっ、あぶねえ」と高柳君は突き飛ばされた。

黒紋付の羽織に山高帽を被った立派な紳士が綱曳で飛んで行く。車へ乗るものは勢がいい。あるくものは突き飛ばされても仕方がない。「えっ、あぶねえ」と拳突を喰わされても黙っておらねばならん。高柳君は幽霊のようにあるいている。

青銅の鳥居をくぐる。敷石の上に鳩が五六羽、時雨の中を遠近している。唐人髷に結った半玉が渋蛇の目をさして鳩を見ている。あらい八丈の羽織を長く着て、素足を爪皮のなかへさし込んで立った姿を、下宿の二階窓から書生が顔を二つ出して評している。柏手を打って鈴を鳴らして御賽銭をなげ込んだ後姿が、見ている間にこっちへ逆戻をする。