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Japanische Klassiker mit Furigana

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のわき

野分

夏目 漱石

Lesen Sie 野分 (のわき) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.508 Zeichen · 189 Bildschirme

Aozora Bunko

四

と不思議そうに尋ねた。

「今は昔より下落したと云うのかい。ハハハハハ」と道也先生は大きな声を出して笑った。妻君は毒気を抜かれて口をあける。

「どうりゃ一勉強やろうか」と道也は立ち上がる。その夜彼は彼の著述人格論を二百五十頁までかいた。寝たのは二時過である。

四

「どこへ行く」と中野君が高柳君をつらまえた。所は動物園の前である。太い桜の幹が黒ずんだ色のなかから、銀のような光りを秋の日に射返して、梢を離れる病葉は風なき折々行人の肩にかかる。足元には、ここかしこに枝を辞したる古い奴ががさついている。

色は様々である。鮮血を日に曝して、七日の間日ごとにその変化を葉裏に印して、注意なく一枚のなかに畳み込めたら、こんな色になるだろうと高柳君はさっきから眺めていた。血を連想した時高柳君は腋の下から何か冷たいものが襯衣に伝わるような気分がした。ごほんと取り締りのない咳を一つする。

形も様々である。火にあぶったかき餅の状は千差万別であるが、我も我もとみんな反り返る。桜の落葉もがさがさに反り返って、反り返ったまま吹く風に誘われて行く。水気のないものには未練も執着もない。飄々としてわが行末を覚束ない風に任せて平気なのは、死んだ後の祭りに、から騒ぎにはしゃぐ了簡かも知れぬ。