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Japanische Klassiker mit Furigana

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のわき

野分

夏目 漱石

Lesen Sie 野分 (のわき) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.508 Zeichen · 189 Bildschirme

Aozora Bunko

傍にいた紳士が、天幕の隅から一脚の椅子を持って来て、

「さあこの上へ御乗せなさい」と令嬢の前に据えた。高柳君は一間ばかり左へ進む。天幕の柱に倚りかかって洋服と和服が煙草をふかしている。

「葉巻はやめたのかい」

「うん、頭にわるいそうだから――しかしあれを呑みつけると、何だね、紙巻はとうてい呑めないね。どんな好い奴でも駄目だ」

「そりゃ、価段だけだから――一本三十銭と三銭とは比較にならないからな」

「君は何を呑むのだい」

「これを一つやって見たまえ」と洋服が鰐皮の煙草入から太い紙巻を出す。

「なるほどエジプシアンか。これは百本五六円するだろう」

「安い割にはうまく呑めるよ」

「そうか――僕も紙巻でも始めようか。これなら日に二十本ずつにしても二十円ぐらいであがるからね」

二十円は高柳君の全収入である。この紳士は高柳君の全収入を煙にするつもりである。

高柳君はまた左へ四尺ほど進んだ。二三人話をしている。

「この間ね、野添が例の人造肥料会社を起すので……」と頭の禿げた鼻の低い金歯を入れた男が云う。

「うん。ありゃ当ったね。旨くやったよ」と真四角な色の黒い、煙草入の金具のような顔が云う。