Japanische Klassiker mit Furigana
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のわき
野分
Lesen Sie 野分 (のわき) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.508 Zeichen · 189 Bildschirme
ハハハハ。そら例のが、あれでしょう。だから、どうにもこうにもやり切れないのさ。エヘヘヘヘ、アハハハハハハ」
土鍋の底のような赭い顔が広告の姿見に写って崩れたり、かたまったり、伸びたり縮んだり、傍若無人に動揺している。高柳君は一種異様な厭な眼つきを転じて、相手の青年を見た。
「商人だよ」と青年が小声に云う。
「実業家かな」と高柳君も小声に答えながら、とうとうオレンジを絞るのをやめてしまった。
土鍋の底は、やがて勘定を払って、ついでに下女にからかって、二階を買い切ったような大きな声を出して、そうして出て行った。
「おい中野君」
「むむ?」と青年は鳥の肉を口いっぱい頬張っている。
「あの連中は世の中を何と思ってるだろう」
「何とも思うものかね。ただああやって暮らしているのさ」
「羨やましいな。どうかして――どうもいかんな」
「あんなものが羨しくっちゃ大変だ。そんな考だから卒業祝に同意しないんだろう。さあもう一杯景気よく飲んだ」
「あの人が羨ましいのじゃないが、ああ云う風に余裕があるような身分が羨ましい。いくら卒業したってこう奔命に疲れちゃ、少しも卒業のありがた味はない」