Japanische Klassiker mit Furigana
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のわき
野分
Lesen Sie 野分 (のわき) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.508 Zeichen · 189 Bildschirme
「どうでしょう、何か御説はありますまいか」と催促を義理ずくめにする。ありませんと云ったら、すぐ帰る気かも知れない。
「そうですね。あったって、僕のようなものの云う事は雑誌へ載せる価値はありませんよ」
「いえ結構です」
「全体どこから、聞いていらしったんです。あまり突然じゃ纏った話の出来るはずがないですから」
「御名前は社主が折々雑誌の上で拝見するそうで」
「いえ、どうしまして」と中野君は横を向いた。
「何でもよいですから、少し御話し下さい」
「そうですね」と青年は窓の外を見て躊躇している。
「せっかく来たものですから」
「じゃ何か話しましょう」
「はあ、どうぞ」と道也先生鉛筆を取り上げた。
「いったい煩悶と云う言葉は近頃だいぶはやるようだが、大抵は当座のもので、いわゆる三日坊主のものが多い。そんな種類の煩悶は世の中が始まってから、世の中がなくなるまで続くので、ちっとも問題にはならないでしょう」
「ふん」と道也先生は下を向いたなり、鉛筆を動かしている。紙の上を滑らす音が耳立って聞える。
「しかし多くの青年が一度は必ず陥る、また必ず陥るべく自然から要求せられている深刻な煩悶が一つある。