Japanische Klassiker mit Furigana
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かわぐちこ
野菊の墓他六篇
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓他六篇 (かわぐちこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.105 Zeichen · 61 Bildschirme
いままで雑然騒然、動物の温気に満ちていた牛舎が、たちまちしんとして寂莫たるように変じたのを見て、僕は自分もそれに引き入れられるような気分がして、もはや一時もここにいるにたえられなくなった。
僕は用意してきたあらたな衣服を着がえ、牛舎にはいった時着た衣服は、区役所の消毒係りの人にたくしてここを出た。むろんすぐに家へは帰られないから、一週間ばかり体を清めるためその夜のうちに国府津まで行った。宿についても飲むも食うも気が進まず、新聞を見また用意の本など出してみても、異様に神経が興奮していて、気を移すことはできなかった。見てきた牛の形が種々に頭に映じてきてどうにもしかたがない。無理に酒を一口飲んだまま寝ることにした。
七日と思うてもとても七日はいられず三日で家に帰った。人の家のできごとが、ほとんどよそごとでないように心を刺激する。僕はよほど精神が疲れてるらしい。
静かに過ぎてきたことを考えると、君もいうようにもとの農業に返りたい気がしてならぬ。君が朝鮮へ行って農業をやりたいというのは、どういう意味かよくわからないが、僕はただしばらくでも精神の安静が得たく、帰農の念がときどき起こるのである。