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Japanische Klassiker mit Furigana

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おちぼ

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lesen Sie 野菊の墓 (おちぼ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 25.621 Zeichen · 52 Bildschirme

Aozora Bunko

落穂

水田のかぎりなく広い、耕地の奥に、ちょぼちょぼと青い小さなひと村。二十五六戸の農家が、雑木の森の中にほどよく安配されて、いかにもつつましげな静かな小村である。

こう遠くからながめた、わが求名の村は、森のかっこうや家並のようすに多少変わったところもあるように思われるが、子供の時から深く深く刻まれた記憶のだいたいは、目に近くなるにつれて、一々なつかしい悲しいわが生い立った村である。

十年以前まだ両親のあったころは、年に二度や三度は必ず帰省もしたが、なんとなしわが家という気持ちが勝っておったゆえか、来て見たところで格別なつかしい感じもなかった。こうつくづく自分の生まれたこの村を遠くから眺めて、深い感慨にふけるようなこともなかった。

いったい今度来たのも、わざわざではなかった。千葉まで来たついでを利用した思い立ちであったのだ。もっともぜひ墓参りをして帰ろうという気で、こっちへ向かってからは、かねがね聞いた村の変化や兄夫婦のようす、新しくけばけばしかった両親の石塔などについて、きれぎれに連絡も何もない感想が、ただわけもなく頭の中ににぶい回転をはじめたのだ。