Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ななこ

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lesen Sie 野菊の墓 (ななこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.271 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

元が暢気な生れで、まだ苦労ということを味わわないお千代は、おとよをせっかくここまで連れて来ながら、おとよの胸の中は、なかなか道ばたの花などを立ち留って見てるような暢気でないことまでは思い遣れない。お千代は年は一つ上だけれど、恋を語るにはまだまだ子供だ。

おとよはしょうことなしにお千代のあとについて無意識に、まあ綺麗なことまあ綺麗なことといいつつ、撥を合せている。蝙蝠傘を斜に肩にして二人は遊んでるのか歩いてるのか判らぬように歩いてる。おとよはもうもどかしくてならないのだ。

おとよは家を出るまでは出るのが嬉しく、家を出てしばらくは出たのが嬉しかったが、今は省作を思うよりほかに何のことも頭にない。お千代の暢気につれて、心にもない事をいい、面白く感ぜぬ事にも作り笑いして、うわの空に歩いている。おとよの心にはただ省作が見えるばかりだ、天竺牡丹も霧島も西洋草花も何もかもありゃしない。

「省さんは先へいったのかしら、それともまだであとから来るのかしら」

こう思うのも心のうちだけで、うかりとしているお千代には言うてみようもなく、時々目をそらしてあとを見るけれど、それらしい人も見えない。