Japanische Klassiker mit Furigana
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のぎくのはか
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓 (のぎくのはか) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.539 Zeichen · 67 Bildschirme
に留める様子もない。この間の小言も実は嫂が言うから出たまでで、ほんとうに腹から出た小言ではない。母の方はそうであったけれど、兄や嫂やお増などは、盛に蔭言をいうて笑っていたらしく、村中の評判には、二つも年の多いのを嫁にする気かしらんなどと専いうているとの話。それやこれやのことが薄々二人に知れたので、僕から言いだして当分二人は遠ざかる相談をした。
人間の心持というものは不思議なもの。二人が少しも隔意なき得心上の相談であったのだけれど、僕の方から言い出したばかりに、民子は妙に鬱ぎ込んで、まるで元気がなくなり、悄然としているのである。それを見ると僕もまたたまらなく気の毒になる。感情の一進一退はこんな風にもつれつつ危くなるのである。とにかく二人は表面だけは立派に遠ざかって四五日を経過した。
陰暦の九月十三日、今夜が豆の月だという日の朝、露霜が降りたと思うほどつめたい。その代り天気はきらきらしている。十五日がこの村の祭で明日は宵祭という訣故、野の仕事も今日一渡り極りをつけねばならぬ所から、家中手分けをして野へ出ることになった。それで甘露的恩命が僕等両人に下ったのである。