Japanische Klassiker mit Furigana
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きんぎょりょうらん
金魚撩乱
岡本 かの子
Lesen Sie 金魚撩乱 (きんぎょりょうらん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.999 Zeichen · 67 Bildschirme
その無技巧の丸い眼と、特殊の動作とから、復一の養い親の宗十郎は、大事なお得意の令嬢だから大きな声ではいえないがと断って、
「まるで、金魚の蘭鋳だ」
と笑った。
漠然とした階級意識から崖邸の人間に反感を持っている崖下の金魚屋の一家は、復一が小学校の行きかえりなどに近所同志の子供仲間として真佐子を目の仇に苛めるのを、あまり嗜めもしなかった。たまたま崖邸から女中が来て、苦情を申立てて行くと、その場はあやまって受容れる様子を見せ、女中が帰ると親達は他所事のように、復一に小言はおろか復一の方を振り返っても見なかった。
それをよいことにして復一の変態的な苛め方はだんだん烈しくなった。子供にしてはませた、女の貞操を非難するようないいがかりをつけて真佐子に絡まった。
「おまえは、今日体操の時間に、男の先生に脇の下から手を入れてもらってお腰巻のずったのを上へ上げてもらったろう。男の先生にさ――けがらわしい奴だ」
「おまえは、今日鼻血を出した男の子に駆けてって紙を二枚もやったろう。あやしいぞ」
そして、しまいに必ず、「おまえは、もう、だめだ。お嫁に行けない女だ」
そう云われる度に真佐子は、取り返しのつかない絶望に陥った、蒼ざめた顔をして、復一をじっと見た。